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心のケア(12)-未来への道

心のケア(12)


東日本大震災の発生からスタートした「心のケア」シリーズ。12回目の今回でいったんピリオドを打ちたいと思います。もちろん心の問題は、5年、10年と長く継続していく課題です。

そこで今後に向けて、PTSDの改善に必要なサポート方法を、まとめています。


■心の不調を改善していくために

<肯定・受容>

前回、アンケートの結果にも、「集中できない」「物音にビクッとする」といったさまざまな心の症状が上がっていました。これまで普通に行ってきたことができなくなり、体の不調を覚えると、どうしても不安になりますし、悲観的になってしまいがちです。けれども、そういった症状が起きるのは、当然のこと。少しずつ体験を受け入れて、肯定していきたいものです。抱えることになった症状とうまくつきあっていく方法を、自分のペースで見つけていきましょう。周囲は、「いつまでもクヨクヨしないで」「もっとたいへんな人もいる」「忘れなさい」といった、否定する言葉をかけないよう気をつけてください。
「たいへんでしたね」「よくがんばられましたね」といった受容の言葉がベターです。


<共感・つながり>

「おつらかったでしょう」「ご無理のないよう」「必要なことを教えてくださいね」といった、相手に寄り添い、共感の言葉をかけていくことが大切です。地震や津波で親しい方が亡くなったり、避難で身近な方と離れてしまったりと、どうしても孤独感を抱えがちです。
阪神大震災では、仮設住宅での孤独死が問題となりました。その教訓から、今回の移住では、できる限り町などコミュニティ単位での移住が配慮されています。とはいえ、以前の人間関係のままではありませんし、移住することで、転校生として不安な思いを抱えているかもしれません。そこで必要なのは、つらい思いへの理解や共感。一人じゃない。みんなで支え合っていこうとする姿勢です。


<吐き出し>

心の苦しさや体の不調は、ガマンをすると、よけいに強まり、慢性化してしまいます。気持ちを抑え込むことは、自分が感じている感情を否定することにもつながるからです。
黙っているよりも、話をするだけでも吐き出しになります。何らかの方法で、抱えている感情を解放していきましょう。子どもの場合は、遊びやアート、歌や演劇も効果的ですよ。


<記憶の引き金への配慮>

津波のフラッシュバックで、雨音におびえる子ども。お風呂の水面の揺れに津波を連想して、数ヶ月経ってもシャワーだけですませる子ども。大人たちも水面が揺れないよう、じっとして浴槽につかるのだとか。東京へ避難して移住しても、地震に関連する漢字の書き取りすら嫌がるお子さんもいるそうです。

こういったトラウマ(心のキズ)を連想させるものを、トリガー(引き金)と呼びます。

日常生活にいろんな不都合があるとは思いますが、初期はトラウマがリアルですから、できるだけトリガーとなるものから遠ざけるようにします。フラッシュバックを起こすリスクがあるからです。

本人が心身ともに元気を取り戻すにつれ、トラウマから遠いトリガー(コップの水など)から、近いトリガー(プールなど)へと徐々に慣らしていきます。また、楽しい記憶をプラスして、塗り替えていくのも一手。「覚えてはいるけれど平気」になる日まで、ゆっくりと安心の範囲を広げていきましょう。→心のケア(7)参照


<エンパワーメント>

PTSDの症状のひとつとして、未来が狭まった感覚が起こります。これは、安全や安心が突然ひっくり返された体験によって、「予期しないトラブルがいつ起こるかわからない」という印象が強くインプットされるためです。
また、被害の大きさから無力さを感じ、自分には何もできないというコントロール不能感を持ってしまいがちです。すると、自分自身に対する信頼が損なわれてしまいます。
それを快復するには、小さなできることを重ねて、ひとつずつ自信を取り戻していくこと。自分にできることを増やす、小さな約束を守る、恒例のお祭りや季節の行事を行う。以前の生活=安全な過去を取り戻す実感を、積み上げていきましょう。→心のケア(10)参照


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