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心のケア(3)−記憶を封じる、心の防御

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前回、「心のケア(2)−どんな症状が起きるか」でPTSDの診断基準である(1)再体験、(2)回避や麻痺、(3)過覚醒ついてお話しました。

これらの症状はPTSDの特徴的なものです。

とはいえ、PTSDの症状は他にもさまざまな形になって現れます。

例えば、「記憶の混濁」。いわば(2)回避の一種なのですが、体験自体があまりにツライために、その体験にまつわる記憶を封じこめ遮断します。

その体験を思い出そうとするとボーッとして混乱したり、嫌な思い出のあるエリアは雲がかかったように感じたりします。

テレビドラマなどでよく記憶喪失が出てきて、本当にそんなことってあるのかなって感じるかもしれませんが、これは心が壊れないように痛みを封じ込める防御反応なんですね。

東日本大震災で着の身着のまま逃げ、命からがら助かったという、あるおじいちゃんにお会いしたときのことです。快活で、ジョークまじりに話されるお姿は元気そのもの。

しかし周囲の方が「津波のときの状況を聞いても、まったく思い出せないのよ」と言われていました。直接おじいちゃんに伺ってみましたが、やはりそこだけスッポリと、わからないのだそうです。ご自分で思い出そうとしても、思い出せないんですね。

また、保育園でいじめにあったお子さんは、たまたま目にした自分のアルバムを楽しそうに眺めていました。

赤ちゃんのころの自分の姿にキャッキャと笑みを浮かべていたのですが......。

いじめを受けた年齢の写真になると、言葉がピタリと止まり、黙ってページをめくるうち、ぽろぽろと涙が。

そして出てきた言葉は......「あれ、私、どうして泣いているんだろう?」

まるで記憶が凍ったかように、その当時を自分では思い出せないのです。

にもかかわらず、身体は勝手に反応して涙が流れ、自分でもビックリする。

もちろん、見ていた写真は家族のプライベートな写真ばかりで、いじめをした同級生たちは写っていません。それなのに身体は無意識に反応してしまいます。

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