[photo by scarletgreen]
いわさきちひろ美術館というのが東京と長野県の安曇野にあるのをご存じだろうか。ここではいわさきちひろ本人の絵画ほほか、仕事場が再現されていたりもするが、加えて絵本の原画を収集していて、世界各国16,600点以上の原画が集められている。
そこで見かけた原画に魅せられて購入したのが、今回紹介する『十万本の矢』(岩波書店)。三国志の一シーンを描いたもので、文章:唐 亜明、絵:于 大武とそれぞれ中国の人によるものだ。
僕は三国志のよい読者ではまったくなくて、横山光輝の漫画で内容をかじった程度なのだが、十万本の矢のエピソードは有名なのでご存じの方も多いかもしれない。諸葛亮孔明の知恵により、わずか3日間で十万本の矢を手に入れるという話なのだが果たしてその方法は・・・?
という話ももちろん面白いのだが、本当に絵が素晴らしいと思う。東洋的な細目でつりあがった目は極めてオリエンタルな趣ですぐにその世界にひきこまれる。策士である孔明や周瑜の住まう環境の優雅でゆったりとしたところや、戦にむかう船にもユニークな装飾がしてあったりするところをみると、戦争という一大事に対しても余裕みたいなものが感じられ、時間の流れが“今”とは全く違うように思う。
この本は小さい子どもにはもしかしたら不向きかも知れない。かくいう我が家もあまり好評ではなかった。親が進んで読んで聞かせるくらいで、なかなか「これ読んで!」と持ってくる本には入ってこない。
まあ、しかしたまにはいいじゃないか、と思う。いや、本当に素晴らしいのだ。持っていて絶対損はない、と思って僕はときどきまるで画集を見るような気持ちで自分のためにこの本を開く。
実はうちにはこういう類の本が何冊かあって、もう一冊紹介する『ジス・イズ・ニューヨーク』も子どもにはちょっと受けが悪かった本のひとつ。ここで描かれているのは1960年ごろのニューヨーク。そのあたりの雰囲気を楽しめる。絵はクールなイラストちっくでかっこいいのだが、この辺は子どもにはなかなか伝わらないかも。僕はニューヨークが好きなのでこれを選んだが、このシリーズにはサンフランシスコ、ロンドン、パリ、ローマ、ホンコンなど18都市分あるので、みなさんお好きな都市を選んでみるとよいと思う。
いずれこういう「本を所有する喜び」、みたいなことも子どもと共有したいな、と思いつつ・・。

- ライター
- 奥平 亨
- 1967年生まれ、妻に息子と娘の4人家族。子育てを言い訳にいろいろ遊びまわりたい!今のところ息子の興味はパパの好みと一致しています。






コメント一覧
自分のためにも、ってとても共感します。
僕もよく子供と絵本を借りに図書館に行きますが、自分のために小学生向けの歴史まんがや図鑑なんかを借りたりしてます。
子供がいれば何を借りてもあやしくはないですからね。
子供って、そんな、大人がなかなか入りづらい、戻りづらい世界のドアをまた開けてくれる存在だなあ、子供がいて本当よかったなあ(言葉は悪いですが、得したなあ、とも)と思います。
投稿: 田舎パパ | 2009年10月25日 01時49分
田舎パパさん、ありがとうございます。
ここにあげた本だけじゃなくて、きちんと振り返ってみると、結局は自分が好きなものを読んでいることが多くあります。
最初は子どものために、と思っても、自分がはまっていることも多く・・・。今は、新幹線の種類にも詳しくなりました。
投稿: | 2009年10月27日 14時20分
子どもの本から
今まで見落としてきたことに気づかされることもあります!
子どもの教科書なんか見ててもそう思います
いつまでも,一緒に本屋とか図書館とかに通えたらな~と思ってます!
本を所有することの喜び・・・・・伝えたいですね!
私は絵本用の本棚は子ども達と一緒に作ってます。
作った本棚に子どもたちが落書きをして,その上からニスを塗る。
その時の思い出を閉じ込めた本棚にしています。
本は増える一方で,子ども達は大きくなる一方。
部屋は確実にせまくなっていきます・・・・
投稿: くるしま | 2009年11月 4日 10時33分