「商品開発の発想は『プロダクトアウト』ではだめ。『マーケットイン』じゃないと」
このような会話は様々な職場で交わされているのではないか。プロダクトアウトとは、企業側の都合を優先して「作ったものを売る」という姿勢。それに対してマーケットインとは、マーケット調査などで顧客のニーズを汲み取り、それに合ったものを提供するやり方だとよく説明される。
最近では、顧客の期待を超えるものを作るには実はプロダクトアウトの考え方が重要なのだという議論もあるようだが、家庭料理の分野では、やはりマーケットインの発想が欠かせないようだ。
私が最初に作った離乳食は「10倍粥」という初心者メニュー。米1に対して水10で炊く、消化によい軟らかいお粥だ。地元自治体が開催する離乳食教室で作り方を習った後、やる気満々になって早速家で実践してみた。湯飲みに米1さじと水150ccを入れ、炊飯器の真ん中にセット。子ども用のお粥と大人用のご飯が一緒に炊けるちょっとした裏技だ。
できたお粥を裏ごししてドロドロな状態にし、当時5か月ちょっとになる娘に食べさせてみようとした。お粥をスプーンに乗せ、娘の口元に運んだのだが、少し舐めたきり食べようとしない。なぜだ?米と水の比率は完璧なはず。米は無洗米だからぬか臭くないし、水は浄水器を通してある。育児書には離乳食は生後5か月くらいから始めるべしと書いてある。なぜ食べてくれないんだ??
その理由は1ヶ月後に分かった。我が家では布おむつを使っているので、下洗いの際に毎日うんちと対面する。生後6か月頃にそれまで軟らかかったうんちが固くなったのに気づき、胃腸の機能がしっかりした証拠だろうと判断した。これはさしずめ企業でいうところのマーケット調査だろうか。再度10倍粥を試してみたところ、今度は進んで食べたのだ。
この経験を通して、子どもの成長は人それぞれで、成長段階に合わせた食事が必要なこと、そしてプロダクトアウトの押しつけではダメだということがよく分かった。作る前に相手のニーズを考えるのは、離乳食に限らず普段の料理でも重要なこと。お腹の調子が悪いと訴える妻に、精がつくからとこってりした炒め物を出し、「もっと消化のいいものにしてよ!」などと不興を買うことの多い私には改めていい勉強になったのだった。

- ライター
- 柳田 啓之
- 1975年生まれ。環境・CSRコンサルティング会社に勤める。第一子の誕生を機に育児休業を約1年間取得。育児をしながら家庭菜園や料理などを楽しむ。
ブログ:育休パパのエコ育児




コメント一覧
料理もそうですが、子育て自体が「マーケットイン」であるべきですね。
子育て雑誌とかノウハウ本、あるいは友だちママから聞いた「常識や流行」を、そのまま自分の子どもにプロダクトインするのは、時と場合によってはいいですが、いつもってのはちょっとね、って感じ。
なかなかオシメが取れない子どもに対し、「何歳までには」っていう世間相場をプロダクトインするんじゃなくて、「自分の子どもはこうだから、それに応じた」マーケットインが必要。
仕事では、顧客ニーズをつかむことが大切。
子育ての場合の顧客とは、子どもそのもの。だから子どものニーズ、現状を把握し、それに対してカスタムメイドが求められるのでしょうね。
投稿: かわしま | 2009年7月 8日 17時43分
コメントありがとうございます。
そう、育児雑誌などを読んだり、同じ年頃の子どもがいる親と話しているとつい「Xか月頃に○○をすべし」などと思ってしまいがちなのですが、子どもによって体格も、性格も全然違うものだと子育てしながら気づきました。
同じように種を蒔いても苗によって育ちが違う野菜と同じだなぁと思った次第です。
「平均」や「普通の子」に惑わされずに自分の子をしっかり見ていきたいと思います!
投稿: 柳田 | 2009年7月 9日 22時37分